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多田 健一; 遠藤 知弘*
EPJ Web of Conferences, 284, p.14013_1 - 14013_4, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.21(Nuclear Science & Technology)高速炉及び中速炉では非分離共鳴領域の自己遮蔽効果の影響が大きくなる。確率テーブル法は連続エネルギーモンテカルロ計算コードで非分離共鳴領域の自己遮蔽効果を取り扱う手法として広く利用されている。本手法では、各核種の与えられたエネルギー点において、断面積の確率分布のテーブルを計算している。確率テーブルは、ラダーと呼ばれる疑似共鳴構造を何度も作成し、その平均から計算している。多くの核データ処理コードではこのラダーを作成する回数が入力値として必要となっているが、最適なラダー数は今まで検討されていなかった。以前の著者の研究から、最適なラダー数は核種や平均共鳴パラメータに依存することが分かっている。このことから、核データ処理コードユーザー自身が最適なラダー数を見つけることは困難である。そこで本研究では、確率テーブル生成における統計的不確かさを計算する手法を開発した。開発した手法では、中心極限定理を用いて確率テーブルと平均全断面積の積の統計的不確かさを計算する。
多田 健一
Proceedings of International Conference on the Physics of Reactors; Transition To A Scalable Nuclear Future (PHYSOR 2020) (USB Flash Drive), 8 Pages, 2020/03
確率テーブルは連続エネルギーモンテカルロ計算コードにおいて非分離共鳴領域の自己遮蔽効果を考慮する手法として広く利用されている。確率テーブルはラダー法を用いて計算される。ラダー法では非分離共鳴領域の平均的な共鳴パラーメータと乱数を用いて疑似的な共鳴構造を多数作ることで、確率テーブルを計算している。確率テーブルはこの疑似的な共鳴構造を作る回数、すなわちラダー数に影響される。このラダー数は断面積ライブラリの作成時間に大きな影響を与えることから、断面積ライブラリ作成時間を低減させるためにはラダー数を出来るだけ少なくすることが重要である。しかし、最適なラダー数の検討は今まで行われていなかった。そこで本研究では、JENDL-4.0の全核種を対象として、最適なラダー数の検討を行った。その結果、ラダー数100で詳細なラダー数を用いた確率テーブルとの差異が十分に小さくなることが分かった。また、確率テーブルの差異が臨界解析に与える影響を評価したところ、確率テーブルの差異が臨界解析に与える影響は小さいことが分かった。
多田 健一
Proceedings of Reactor Physics Paving the Way Towards More Efficient Systems (PHYSOR 2018) (USB Flash Drive), p.2929 - 2939, 2018/04
原子力機構では核データ処理システムFRENDYの開発を進めており、それに併せて従来の核データ処理手法の問題点の調査・解決を進めている。本論文ではNJOYのPURRモジュールでも用いられているラダー法を用いた確率テーブル作成手法の改良について説明する。適切な確率テーブルを高速に作成するため、カイ二乗分布に従う乱数生成手法と、複素誤差関数の計算手法を改良した。従来の手法と新しい手法で実効増倍率を比較したところ、確率テーブル作成手法が実効増倍率に与える影響は小さいことが分かった。また、最適なラダー数について検討したところ、ラダー数は100程度で確率テーブルが十分収束していることが分かった。
多田 健一; 長家 康展
no journal, ,
原子力機構では、国産核データ処理システムFRENDY(FRom Evaluated Nuclear Data librarY to any application)の開発を進めている。本発表では、FRENDYの非分離共鳴領域の確率テーブル作成について報告する。
多田 健一
no journal, ,
原子力機構では、2013年度より国産核データ処理システムFRENDYの開発を進めており、平成28年度までにMCNP用の断面積ライブラリであるACE(A Compact ENDF)ファイル作成に必要な断面積再構成、ドップラー拡がりの処理、熱中性子散乱則の処理、非分離共鳴領域の確率テーブルの作成、ガス生成断面積の作成及びACEファイルの作成の各機能を実装してきた。FRENDYの開発では、世界中で広く利用されているNJOYと同じ核データ処理方法を採用しているが、開発中に判明したNJOYの処理方法の問題点を改善したFRENDY独自の処理方法の実装も進めている。今般、FRENDY単体でACEファイル作成が可能になったため、NJOYの問題点が積分実験解析に与える影響について評価を進めている。本発表では、NJOYとFRENDYの確率テーブル作成方法の違いが解析結果に与える影響について報告する。
長家 康展; 羽倉 洋行*
no journal, ,
基礎臨界特性データのデータベースの作成に資するため、燃料デブリ体系を取り扱うことができる新規モンテカルロ計算ソルバーSolomonを開発している。非分離共鳴の自己遮へい効果を正確に取り扱うため、確率テーブル法をSolomonに実装し、単純球体系に対する実効増倍率を計算することにより実装を検証した。
多田 健一
no journal, ,
核データ処理システムFRENDYの開発に反映させるため、従来の核データ処理システムNJOY等で用いられてきた核データ処理手法の問題点について調査・解決を進めている。本発表ではNJOYのPURRモジュールでも用いられているラダー法を用いた確率テーブル作成手法の改良について説明する。確率テーブルの作成を高速化するため、カイ二乗分布に従う乱数生成手法と、複素誤差関数の計算手法を改良した。従来の手法と新しい手法を比較したところ、計算速度は約2割向上することを確認した。
多田 健一
no journal, ,
非分離共鳴領域の自己遮蔽効果を考慮するため、確率テーブル法が使われている。この確率テーブルの作成において、ラダー数の設定は断面積ライブラリ作成時間に大きな影響を与える。断面積ライブラリ作成時間を低減するためには、ラダー数を低減させる必要があるが、最適なラダー数やラダー数の違いが確率テーブルや臨界性に与える影響は今まで評価されていなかった。そこで、本研究では核データ処理コードFRENDYを用いて、ラダー数の違いが確率テーブルや臨界性に与える影響を評価し、最適なラダー数について検討を行った。検討の結果、ラダー法を用いた確率テーブルの作成では、ラダー数を100とすればよいことが分かった。
多田 健一; 遠藤 知弘*
no journal, ,
非分離共鳴領域の自己遮蔽効果を取り扱う確率テーブルの作成では、従来は疑似共鳴構造を作成する回数であるラダー数を入力として用いてきた。しかし、われわれの検討により、核種によって確率テーブルの統計誤差が異なる可能性があることが明らかになった。そこで本研究では、確率テーブルの統計誤差評価手法を開発し、核データ処理コードFRENDYに実装した。本研究で開発した統計誤差評価手法は、各ラダーで得られた各ビンの確率テーブルの値を使って統計誤差を計算するものである。統計誤差評価手法としては、標準的な統計誤差評価手法の他に、Bootstrap法とJacknife法を用いて、統計誤差評価手法の違いについて調査した。その結果、ラダー数が非常に少ない場合は統計誤差評価手法によって差異がみられるものの、ラダー数が100程度になると手法間の差異が見られなくなることが分かった。また、核種による違いを調査したところ、JENDL-4.0のSr-90など一部の核種で同一のラダー数でも統計誤差が大きくなることが分かった。本研究により、確率テーブルの作成において、従来のラダー数だけでなく、統計誤差が確率テーブル作成における基準値として用いることが可能となった。